予備的遺言とは、遺言で指定された財産の受取人が、遺言者より先(同時)に亡くなった場合にどうするかを決めておくことです。
例えば、
被相続人(遺言者)A
Aの相続人が配偶者B、長男C、長女Dの場合、
「預貯金の1,000万はCに相続させる」という内容の遺言であったが、Aより先にCが亡くなってしまった。
この場合、上記の1,000万はどうなるでしょう。
Cに子供Eがいれば当然Eがもらう権利(代襲相続)があると思いますよね。
ここで判例を紹介します。
「相続させる」旨の遺言は、その遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、その推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、その効力を生ずることはないと解するのが相当である。
(最高裁判所平成23年2月22日判決)
つまり、CがAより先に亡くなっていた場合はCの子供であるEに相続させる、ということが明らかでない場合は効力がない、ということです。
ではどうなるのでしょうか?
この1,000万は相続財産として、B、D、E(Cを代襲相続)で遺産分割協議をすることになります。
BとDに権利が復活するという感じでしょうか。
こういう事態を避けるために、遺言書に、
「遺言者はCが遺言者の死亡以前または同時に死亡している場合は、(同内容)をCの子供であるEに相続させる」
という内容を入れておくことが予備的遺言になります。
遺言書を作成する場合、後のトラブルを回避するためにも充分考慮する必要があるでしょう。